フィッシング

Brazil 22:アマゾンでの宴の終わり

(Brazil 21より続く) 舟で帰る途中、ある立木の奥に立ち寄る。丸太の柱が何本かあり、その上に青いプラスチックのテント地が張ってある。マナウス周辺の釣りバカ達が夜を徹して釣りに来るときに泊まる場所らしい。約五メートル四方。しかし、こんなところに…

Brazil 21:緑と金の跳躍

(Brazil 20より続く) 「オパ!」おっさんが声を上げる。竿先が水面に吸い込まれている。ど素人のうちのかみさんにまで釣られ、これまで面目丸つぶれだった彼にも遂に僥倖がやってきたようだ。強い引きだ。糸を出したり巻いたりしたりしながら格闘している。…

Brazil 20:金色のトクナレ

(Brazil 19より続く) ピラーニャのものすごさに唖然としているうちに、あの重戦車のようなプレタとは全く異なる、高レスポンスカーのような引きが唐突にやってくる。グーン、グン、と大きなリズム。それを見ておっさんが、「タ・ク・ナ・レー」と言う。ホン…

Brazil 19:ピラーニャの実力

(Brazil 18より続く) 僕にとって記念すべきその場所はどうも他の連中のお気に召さないようで、自分たちにツキがないと見たのか、まだ大して頑張っていないのに移動だという。まだ釣れるよ、とぼそっと言うが、三(二?)対一ではかなわない。有無を言わさず…

Brazil 18:フィッシュ・オン!

(Brazil 17より続く) 魚だ。ヒットだ。フィッシュ・オンだ。「I GOT it!(かかったぜ!)」そう叫んで糸を巻きにかかる。ドラグはさっき簡単に調整しておいたが、再度少しだけゆるめる。とにかく大切なのは糸をたわめないことだ。三本針といえども、一本しか…

Brazil 17 : 到着、第一投

(Brazil 16より続く 船首にすわったガイドのおじさんが指をさす。それを見て後で舵を切っている土人の彼がスピードを落とす。近づいたようだ。ここまでの疲れ、不安、倦怠はたちまち消える。心が躍ってくる。深い深い立木の群の奥のそのまた奥、そこに何本も…

Brazil 16:海原のような湖

(Brazil 15より続く) この湖は大きい。しばらく船に乗って走り続けているとそれがひしひしと伝わってくる。もう何十分乗っているが、変わらず大海原の真ん中である。こんな小さな船でこんなところでひっくり返ったら、大変だぞ。泳げるのかナ。そもそもピラ…

Brazil 15:アマゾンの夜明け

(Brazil 14より続く) 明日の朝は早い。'The Little Prince'(「星の王子様」)を読んでいるうちに眠りに落ちる。この徹底的な静けさの中にいると、王子様が降りてきて、僕に話しかけてくるのが聞こえて来るような気がしてくる。「本当に大切なことは目に見え…

Brazil 13:釣行に向けて

(Brazil 12より続く) マナウス到着当日、夕方。河に圧倒されたまま、部屋に戻り、マナウスでの計画を練る。具体的には、アメリカから担いできたラフガイドなるブラジル案内本を開き、英語の通じると思われるツアー会社に片っ端から電話をかける。目的は、と…