ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

マーケティングって?

マーケティング(Marketing)とは、考えてみると不思議な言葉である。マーケット(Market)するとは何なのか?本来、この言葉は、文字通り「上市する」ことを意図していたのではないかと思われるが、実際にはご案内の通り、販促、広告といったエンドユーザに対する宣伝的な言葉として世界的に使われるようになり、日本国内にも入ってきた。それがハーバード大学レビット教授の歴史的な論文「マーケティング近視眼」の登場以来、市場(market)と対話すること、ひいてはmarketに合った価値を見極めた上で提供すること、という意味にほぼ定着し、今に至る。(と僕としては理解)


レビット先生の、「消費者はドリルが欲しいんじゃなくて穴が欲しいんだ」という話は本当に鮮烈で、このような領域に入ったばかりの頃、僕の頭をがーんとしたものでした。


僕としては、マーケティングとは、「実消費市場、消費者(マーケット)との対話を通じ、マーケットの理解を深め、より求められている形で商品やサービスを現実的にベストな範囲で提供すること、そのためのプロセス、試み、そして意思」と定義したい。対話の手段には、直接的な聞き込みも当然入るが、データ分析による定量的な現状理解なども当然含まれる。


この対象とする活動には当然、モノやサービスのゼロからの作り込み、既存の商品、サービスのてこ入れ・再訴求、既存ビジネス、組織の見直しなどのいずれもが含まれる。要は、「ビジネスを顧客視点で再定義し最適化すること」と言ってもそれほど過言ではない。


まあいわゆる「商売」の場合は、こういうものが(欲しいと思われるというより)きっと市場で「売れる」に違いない、というある程度一方的な確信なのか信念があり、それをなるべく拡大再生産していく、あるいはその「売れる」を実現するためにごりごり押していくわけだけれども、それに対し「マーケティング」マインドをもったビジネスの場合には、そもそもどんな不満なり満たされないニーズがあり、それを解決するためにはどうしたらいいんだろう?という仮説を立て、実際のユーザや潜在的なユーザの声を聞きながら手を入れたり、作り直したりしていく。


つまり一方通行に対し、フィードバックループがあること、市場をおおざっぱに捉えた話に対し、欲しいヒトや用途の固まりが見えている話、そんなところが「商売」とのちがいだと思う。ある種のビジネスに対する態度の問題であり、思想の問題でもあると思う。本当に喜ばれてるモノやサービスを喜ばれる対価で提供するという意味で、ある種アービトラージとはかなり対極に本来ある考え方なのだと僕は考えている。


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