(セグメンテーションとMECEの誤謬より続く)
Leica M7, 50mm C-Sonnar F1.5
三つのラダー
若干不思議な感じがしますが、差異しか脳が認知できないという視点から見ると、確かに脳のキャパシティには限界があります。一番簡単なのはブルーオーシャン戦略ではないですが、既存とそれ以外で分けてしまう。そしてその間、あるいはそのいずれに対してもある種独立の関係のものを打ち出すということです。そうすると三つまでは確かに認知、うまくやれば記憶してもらえる。
正しいでしょう。ただ、これが商品やサービスの打ち出し方を考えるときにどの程度役立つかというとかなり疑問です。あくまで現状を理解し、どこを狙うのか、ぐらいの考えで利用するのが正しいでしょう。
トップ二つだけが生き残る
これも三つのラダーの話と同じでしょう。更に言えば、どうやったらトップ二つに入れるのか、が分からない限り使いようがありません。そのためには、やはり十分な異質性とこれまでにない利用場面、状況に対する関連性を打ち出す必要があるのですが、ここに対するメンションがないのが、一見ありがたいですがほとんど役に立たないこの言葉の課題です。
ブレイクポイント
これは認知における閾値の必要性をを明確に意識した素晴らしい概念です。異質性におけるポジショニングと同じような価値があります。
ニューロサイエンス、認知科学系の方もいらしているので、簡単に説明しておくと、商品やサービスのベネフィットのあり方を考えるときには、明確な価値を感じるレベルまでやらないと意味がないということです。例えば、冷蔵庫の中の保冷期間を見たときに、葉っぱの野菜を4-5日入れて置けても価値を感じる人はいないが、7日以上痛まずに持たせられると非常に価値を感じる場合、その7日の直前に価値がブレイクするブレイクポイントがあると考えます。
ただ、ある消費、市場を捉えようとした場合、どのような軸でブレイクすればよいのか、が見えないのが悩ましいところです。上記のセグメンテーション、ポジショニングにまつわる留意点である、「利用場面、状況に対する関連性」が通常鍵となる視点になるのですが、その視点で消費そのものを見直すことで、軸だしをうまく出来るのか、決まってきます。
そういう意味で、他のコンセプトと併せて使うのであれば非常に役に立つ、ある種、サブ機的なコンセプトと考えたほうがよいでしょう。
(注:ティッピングポイントという言葉があるが、これは、一気に爆発的な変化が起こる臨界点という、全く異なる意味なので区別する必要がある。 )
以上見てきたとおり、既存の有名コンセプトはそれぞれ、さすがに知覚の本質を踏まえたよい点を捉えている場合が多いですが、(売り出しのためか、無知のためか)わざと鍵になる視点を抜き取ってしまったようなところがあります。同時に、脳神経系の持つ知覚の視点から、
- 「異質性」 (distinctiveness)
- 「閾値」 (threshold)
- 「利用場面、状況への関連性」(relevance)
この三つを核として、打ち出し方を考えることが鍵になることを理解して頂けたのであれば幸いです。
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