ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか (3)

前項より続く)



Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris


(2)電極を使う方法


では当然、次に電極を刺せば良いではないかという話になるが、それは生きている人間の脳についてはほぼ人道的に不可能。また、仮にサルやラットを相手に研究したとして、電極は同時に刺せても、数百本が限度。時間的な解像度、必要な情報処理の激しさ、物理的な電極間の分離の制約が激しすぎるのが主たるボトルネック。例えば16ビットで同時に一秒に一万回ずつサンプリングすると10秒でどれほどの情報になるか、パラレルでどれほどの処理負荷がかかるか考えてみて頂くとその難しさを理解して頂けるものと思う(全てのチャンネルから0.1ミリ秒単位で完全にシンクロした情報を得る必要がある)。


そして数百本では、上述の通り、かなりがさつな情報しかえられない。これはいわゆるfield recordingという手法をとるからで、各々の電極をさした周辺の神経の興奮の総和としての電場の変化を見る手法だからだ。数本ならともかく、これだけの数で個々の電極が、それぞれ一つの神経の活動をダイレクトに記録するのは残念ながら不可能。


ちなみに神経の一本一本からきっちり信号をとるsingle-unit recordingの場合、同時に記録できる本数は桁違いに下がってしまう。これを、パッチクランプ法できっちりノイズのない信号をとろうとすると更に下がる。


深いところを層別、領域別に見ようとすると通常はハムのような感じでスライスにして記録するしか方法がないのも、(これ以上精度の高い方法はないが)大きな課題。つまりスライスは、海馬、視床の研究などで一般的な手法だが、生体でやれるような手法ではない。




(4)へつづく



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