ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

Brazil 24:ブラジルで出会った食べ物たち(1)

Brazil 23より続く)



魚に引き続き、野菜だ、果物だ、スパイスだ、と見て回っているうちに、ブラジルで口にした物の一つ一つが味蕾の上に立ち戻って来ては去る。野性味に富み、精妙で、強く、それでいてやさしい。


ここで、これまで触れることの出来なかった食べ物・飲み物について少し触れておくのも良いのではないかと思う。なおこれは非常に限られた日数における、一外国人旅行者の口と喉を通り過ぎていったものの記録であり、個人としての偏見や好みを大幅に反映したものになることを最初に但し書きしておきたい。



アグア


この国の水は実にうまい。透き通り、芯のしっかりし、どことなく硬質で、時に甘さすら感じる水である。無垢さと、汚れを知らぬ純潔がそこにはある。アマゾンはあらゆる病原体の巣であるから生水は絶対に口にしないように、と、旅立つ前、大学の健康センターのトラヴェル・サービスでワクチン接種をしてもらった際、ドクターから、しっかりと、冗談を許さない真剣さで言われたことが頭にあり、ついにアマゾン川の水を口にすることはなかったが、それすら滅菌フィルターで濾過し、一度沸かせばさぞやおいしいのではないかと、アグア・ミネラル(ミネラル・ウォーター)を口にするたびに想像させられた。店で買うとき、必ずガス(炭酸)入りかどうか聞かれるので、前にも書いたが、セン・ガス(ガス無し)、コン・ガス(ガス入り)の言葉を覚えておくこと。



ラランジャ


英語で言えばオレンジ。ただアメリカと違って、ここで売っているのは半分青い。それをブラジル人は絞って飲む。安い。百個で八リアル(約4百円)。ジュースなんて誰も買わない。サンパウロで一番大きなスーパーに行っても売場は本当に小さい。山根先生は、かつてオレンジジュースは日本から離れるほどうまくなる。日本よりアメリカ、アメリカよりブラジルといっていたが、これはどうも本当である。何しろ新鮮きわまりないのを但しぼりたいだけ絞ってるのだから。どうもいつもアメリカで飲んでいるフロリダ産のフレッシュなやつよりも(アメリカにはただ絞っただけのジュースがボトルに入れて売っている。トロピカーナ・ピュアプレミアムの数倍うまい)甘すぎず、ずっと自然で無理のない味がする。ブラジル人の人柄に通じるものがある。



パパイヤ


ブラジルの朝ご飯はこれ。サンパウロでもフォス・ド・イグアスでもマナウスでもずっとそうだった。この実を二つか三つに割ったものをスプーンですくって食べる。タネ付きのとタネを取ったものが出される場合とがある。実は通常非常に熟し、柔らかく、口の中で溶ける。かすかな酸っぱさと蜂蜜に通じるような甘さの絶妙な調和。アメリカに帰ってきてから、恋しくなってハワイ産のパパイヤを買ってきて食べたが、固くて、味のふくよかさがなくて、同じ果物とは思えない。値段も異常に高い。ブラジルだと、四つで五十円ぐらい。アメリカだと一個二百円ぐらい。東京だと??、想像も付かない。なおタネも一緒に食べると何だかスパイシーな感じがする。始め胡椒の実が載っているのかなと思っていたぐらい、独特のコンビネーション。ただこうすると量は食べられない。みんなどうしてるのかな、と思ってみると誰もタネは食べていなかった。



(この項続く)

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写真説明
1. 山積みのラランジャ


2. パパイヤ。このみずみずしさ。


3. メルカドの中の人たち。生が横溢する。



Brazil 25へ続く




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