米国横断フォトエッセイ4:ダイナー 、、、心に通じる道は胃を通る

アメリカに行くと、とにかく無性に行きたくなるのがダイナー。街の飯屋と言うか、朝ご飯屋というべきか。大体ブレックファーストメニューというのを、朝昼晩を問わずメインに出しており、どこに行っても殆ど同じメニューがある。もちろんハンバーガーなども頼めば鉄板で肉を焼いて出してくれるが、これらに加えて夜になると多少もう少しちゃんとしたものを出していたりする。とはいっても別にいつ、いつものを頼んでも決してしかられることはない(むしろそれが売りだったりする)。典型的なメニューとしては、


two pancakes; two eggs; ham, bacon, or sausage
(ホットケーキ二枚、卵を二つ使った料理、ハム、ベーコン、ソーセージ炒めのいずれか)


というもので、two eggsは自分の好みで料理してくれる。住んだことのない日本人でも分かるものでは、


scramble(文字通りスクランブル)

sunny-side up(目玉焼き)


があるが、通いなれたものとしては、how do you like cook eggs? と聞かれると、ここは


over easy(卵の両面焼き、中身は半熟)


あたりを頼みたい。大体これに、トーストとhome fryというこれもまた日本では全く聞き慣れないものがついてくるが、これはその店その店なりのこだわりでたジャガイモのスライスの角切りを手間ひまかけて炒めたもの。これはラーメンのダシみたいなもので、かなり店によって違う。隠れた4番、陰の店の顔である。いい店であれば、客がいようがいなかろうが暇があれば炒めている。(次の写真では、右側、コーヒーの奥に見える。)



Leica M7, Biogon 35mm F2, PN400N(以下同じ)



あと僕の好みとしてはcorn beef hashというものがある。これはコーンビーフをかなり小さく刻んだポテトと一緒に炒めたもの。これにover easyの卵と一緒に食べるのがかなりうまい。


上のtwo eggsメニューは大体安ければ三ドルぐらい、高くても四ドル台で通常出される。ミルク、砂糖付きで際限なく持ってきてくれるコーヒーを付けて五ドルというところ。これらダイナーは、マクドナルドなどない町も含め、どんなところにでもあり、全く無難であり、ここで食べるこのブレックファーストメニューこそがアメリカの味と言ってもそれほど間違いではないのではないかと思う。(恐らくマクドナルドはある種、このダイナーを極度に普遍化した派生系と考えられる。)


なぜだかギリシア系の髪の黒い人が、家族で、あるいは近しい親戚とやっていることが多い。だから通いなれると本当に仲良くなり、家族のようになる。コネティカット在住当時、生まれたてだったうちの娘を連れて行くと、いつも通っていた店では、すごくいい席を用意してくれて、従業員みんながあやしてくれたものだった。実は、いつものように無意識に(一人で)入ってみると恥ずかしながら手元に金がなくて、そんな時、次来た時でいいからと、食べさせてもらったことも何度ともなくある。


店の外観、雰囲気は大体以下のような感じだ。大きな町中にあると多少分かりにくいが、大体鉄板でホームフライを焼いているのがガラス越しに見えたりするので、発見できる。




アメリカ生活をしていた時は、家で食べない朝ご飯や、夜遅くてただ腹が減っているときはいつも大学そばや、家の近くの通いつけのダイナーだった。疲れきったときには、マックなどのチェーン店と異なり、ちゃんと人の手を通ったものが、どうしても食べたくなるのだ。


もしまだ行ったことがなければ、次回の米国訪問の際には、アメリカ理解のためにも必ず何度か行かれることをお奨めする。時たまビジネススクールロースクール帰りでも殆どダイナーなど知らない人間に会い驚愕することがあるが、これはよっぽど偏った経験であり、そのような日本人ゲットー、東洋食スーパー通いのような生活ではアメリカに肉薄できないことはお伝えしたい。(笑)


だいたい単なる箔をつけるため、あるいは座学、百歩譲っても研究をするためだめにアメリカに行くなんて馬鹿げている。僕個人は、約四年半のアメリカ生活で、研究、学問と、それ以外の場面での考え方、感じ方、価値観のどちらから得たものが多いかと言われると正直悩むほどだ。このブログを読んでいる人にアメリカ在住の人はほぼいないと思うが、生活者でまだの人ならぜひトライされたし。



で、この旅行でもやっぱりどうしても無償に食べたくなり、何度となく行った。食べると本当にほっとするとともに、アメリカに来たことを心から実感する。「心に通じる道は胃を通る」とは本当に良く言ったものだ。


この写真はナイアガラフォールズの町で行ったダイナー。大体こんな感じの店の中。


テーブルの上には、いつものようにケチャップ。基本的にこれをシロップをかける場合以外何にでもかける。日本の醤油と同じ。


この時となりにいたのが三夫婦の一緒の朝食。もしかしたら上の写真で既に気付かれているかもしれないが、なぜだか極度にみんな膨張していた。



甘いものは何でもメープルシロップをかけたいだけかけるため、確かに危険は危険なのだが、通常、そうは言っても昔からの日常食であり、あのように太った人を見ることはレア。しかもこのように集まっているのは何だろうかという疑問とともに終わる。


とりあえず、旅の3日目の風景だったので、今後10日あまり、無意識に食べ過ぎないことを自分に誓う。




ps. 興味をもたれる方への二週間の横断旅行後の結果報告ですが、体重は結局1キロ増え、体脂肪率は1%落ちていました。成功したと考えるべきか、やっぱりデブになったと考えるべきか。(苦笑)


事後解釈としては、直前に毎日ジムに通って筋肉強化ニーズが上がっているところに極度のタンパク食(要は肉)を食べ続けたためにこうなったのではないかと、、、。トホホ

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