渡米して最初に思ったこと(4) - 石橋を叩けば渡れない

Leica M7, 50mm Summilux F1.4, PN400N @Santa Monica, CA


勇気


勇気がなかなか持てなくて、そしてこの責任を恐れて人は本当の自由を得られない。どうして自分のままでいちゃだめなのだろう。人が自分のことどう見たっていいんじゃないか。僕が学生の頃、仲良かったアメリカ人のジャーナリストが教えてくれた言葉で、

Those who dance are thought crazy by those who do not hear the music.

(踊っている人だって、頭がおかしく見える。音楽が聞こえない人から見たら。)


というのがある。本当にそうだと思う。自分は自分の踊りを踊ればいい。ファインマンの本のタイトル(邦題「困ります、ファインマンさん」)にもなっている彼が最愛の最初の奥さん(結核?で若くして死んでしまった)から言われた、

What do you care what other people think?

(人が何をどう思っていようと、それがどうしたっていうの?)


というのも同じことを言っていると思う。彼は感じやすい青年だったけれど、この言葉を聞いて強くなったと言われている。


あまり先のこと考えてもしょうがない。初代南極越冬隊長、西堀栄三郎先生の名著に『石橋を叩けば渡れない』というのがあって、そこで氏は、

「勇気が自信に先行し、経験が勇気を作ります」


という素晴らしいことを述べている。よく分からないのが分かるほど悩んだら、もう飛んでみるしかないことは多い。飛んでしまったら、それが良かったと思えるように頑張ればいい。僕はいつもそうだし、人間先のことがすべて分かるほど賢くない。どういうリスクがあるかを考えるのは大切だけれど、出てしまったあとは自分の創意工夫で乗り越えて行くしかないのが、人生なんじゃないだろうか。


勢いを大切にしつつ思慮深くなりたいものだ。でも勇気のない人にはなりたくない。殆どの人にとって、大人になると言うのはrisk-averse*1になることだから。そうやって飛べなくなることを思慮深くなると言っているのでは意味がないではないか。



(Summer 1997)

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*1:臆病、リスク回避指向