From CT to DC (7) : 同胞

Leica M7, 35mm Biogon F2.0, RDPIII @Grand Canyon National Park


随分長い間、どこまで続いているのか分からない列を待っている。誰かに肩をたたかれる。Asian(エイジアン:アジア人)の男の子である。(入場)チケットをくれるという。一人四枚もらえるらしいのだが、こんなに要らないから、と。「ありがとう」、思わずそう答える。一緒にずっと待ってきた前後の(いわゆる)外人連中には申し訳ないが、ここはありがたく受け取り、列を出ることにする。


この国に来てから、同胞ということで、こうやってアジア人からの親切を受けることは多い。特に中国、韓国から来ている人は、我々と顔の作りもさして変わらず、本当に世界の中で見れば同胞なんだ、ということを実感する。ヨーロッパ人だけではない。黒人、インド人、アラブ人、トルコ人、ヒスパニック、みんなそれぞれ全く異なる顔をし、身体のつくりも違う。その近さの実感が深いのは、白人率八十パーセントという州に住んでいるからかもしれない。インド人、アラブ人ですらお互い近く感じ、すぐに仲良くなる。アジアの「血」である。


ここで、その「血」の引き起こした惨劇を見る。


Holocaust Museum(ホロコースト博物館)。




(April 2001)


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