ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

マイケルジャクソンの死に想う


Leica M7, 50mm Summilux F1.4, PN400N @Hiroo, Tokyo


マイケルが死んだ。


それにあおられるようにマイケルのステージが見直され、彼の驚異のステージにまつわる秘密のようなものについても記事が出ている。僕も、それにリンクされているマイケルのステージを見た。


大げさかもしれないけれど、正直、毛が逆立つような感覚がした。彼はここまで仕事を詰めていたんだと、しみじみ感じた。


確か、僕が中学生の時にスリラーが出て、衝撃の2500万枚をたしか一年あまりぐらいの間に売り、ジャクソンファミリーの最年少メンバーから、一躍、世界の頂点に立った。前作のオフザウォールも洋楽ファン(この言葉自体が死語?)、R&Bファンなら誰もが知っている通り、ほんとにいやになるほど売れたが、スリラーは桁違いだった。


Thrillerのビデオこそが今振り返ればMTVの火がついた始まりだったのではないかと思うが、あのような鬼気迫るステージに賭けた人生というのは、実に素晴らしいものだと、上記のリンク先の彼のステージを久しぶりに見て思った。


正直、あの超絶的なステージがもう二度と見れないのだ、自分は生で見ることは出来なかったんだ、と思うこと自体がつらい。


また、彼がわずか50歳であったということもショックであり、彼が既に50歳であったということもショックだ。


自分もあと何年生きられるのかよく分からないが(僕は常に死ぬことだけは忘れないようにしたいと思っている)、目先のくだらないことを越えて、なるべく本質的なことを突き詰めよう、そう固く心に誓った。

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彼が子供にいたずらをしたということでさんざん騒がれていた話も、今はそれらをプロデュース、仕掛けたした人たちの暴露本が出て、裁判の結果以上に、とんでもないデマだったことが今赤裸々になっている。それが明らかになっただけでも良かったと思うが、そのことが広まっていないことが本当に残念に思う。


マスメディアというのは本当に残酷だ。視聴率、部数さえ取れればこのようにメディアを支えてきた人間すら引きずり落とそうとする。火のないところに金が目当ての人間と、それを真実のように騒ぎ立てたメディアが煙を立てたという意味で、この事件は珍しい。そのことを示す、これほど歴然とした事例も珍しいのではないかと思う。


日本では有名になることは無条件に良いこと、という価値観がどうもあるように思うが、あの価値観から真っ向から逆をいく人をアメリカでは随分たくさん見た。彼の国で、恐らく成功している人のかなりはそうだと思う。名が知れ渡っていることをhigh profileと英語で言うが、「low profileで豊かな暮らし」というのが本当に豊かな生き方なんだなあと、当時つくづく思った。目立ってよいことなどあまり何もなく、出来る限り目立たぬように過ごしているのが本当の豊かな生き方なんだなと。


僕が住んでいたのが、南コネティカットという、米国で一二位を争う豊かな州の最も豊かな一帯だったせいもあり、表札も何もない長く長く続く石塀に囲まれた広大な森の中に住む*1アメリカで際立って豊かな人たちの大半が、高くてもせいぜいレクサスとかBMWの(その中でも上の方ではないクラスの)クルマに乗り、堅実に生きているのを見るたびに学ばされたものだった。正直、城南地区のクルマの方がよっぽど高いモノが多い。*2


中でもグリニッジという英国の天文台がある町にちなんで出来た町がとりわけ豊かな町なのだが(特に上の森の方)、この街のショッピングエリアにいっても、日本のようにLVなんて文字が入っているカバンを持っている人を見たことが殆ど記憶にない。つまり誰もあからさまに富をshow off(みせびらかしたり)しない。けれど、そこにあるSaks Fifth Avenue*3にいくと、たった二階建ての店なのに、数万ドルクラスの毛皮のコートは毎週10枚ぐらいは売れると言う。多分ショーファー(運転手)にリムジンで連れて行ってもらうようなパーティのときなどにはそう言うものを着る。そういうお金の使い方なのだ。


そういう価値観の国において、彼のような純粋なcelebrity*4の道を歩み、突き進むというのはかなり強烈な人生だと思う。それだけリスクをとって生きている人にあのようなことをしてしまうというのは、アメリカにおけるマスメディアの大きな根深い問題を示しているように思う。日本が同根の木を植えていないことを祈る。

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マイケル、、、夏が終わり、年末に近づき、君の子供の頃の、I saw Mammy Kissing Santa Clausを、その天使のような歌声を聞くたびに、僕は君がこの世に運んでくれた沢山の喜びとエンターテイメントに感謝するだろう。


Micheal,

God bless you!


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*1:その一万坪とか軽くありそうな敷地の中に、馬が放し飼いにされていたりする

*2:ある本によると港区はカローラの6倍ベンツがあるそうだ。僕はそんな山手線の内側ではなくて、外側に住んでいるが、近くの一通レベルの路地にマセラッティが三台ぐらい並んでいたりする。あんな光景は米国では見たことがない。

*3:アメリカ屈指の高級百貨店

*4:近年急に使われるようになった日本語のセレブとはかなりニュアンスが違う言葉、、、「有名人」が多分正しい訳