ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

ニューロサイエンス

AIはproblem solvingマシンではない

Leica M7, 50mm/F1.4 Summilux, RDPIII @UC Berkeleyこの夏の研究のように書いていたDiamondハーバードビジネスレビュー(DHBR)2015年 11 月号への寄稿論文がようやく昨日発売になった。「人工知能はビジネスをどう変えるか」というタイトルだ。-NewsPicks…

対象に肉薄したい

GXR, 35mm Nokton Classic F1.4, 気仙沼港 行動を伴わないと何事もただしく理解できない。アタマはあくまで身体に付き添うもの、ということを最近しみじみ実感する。脳と神経の側から見ると当たり前のことなんだけれど、身体と脳は全く切り離せない。このよ…

考えるということの本質

Leica M7, 50/1.5 C-Sonnar, RDPIII @Oxford, UK この間、少々驚くべきことに、僕に本の推薦文を書いてもらえないかという話があり、パワーブロガーのちきりんさんの新刊を読んだ。「自分のアタマで考えよう」という本だ。これが大当りで、引き受けて良かっ…

虫の記憶はさなぎを経ても残るのか?

Leica M7, 50mm Planar F2.0 @Meguroたまにはサイエンスのことをちょっとニューロサイエンスカルト化しないようにと思って(笑)しばらく話題を一般的な方に振ってきたのですが、もうそろそろ良いかなと思うので、たまにはニューロした(?!)話題を。-僕が…

噛みしめることを大切にしよう

この何年か、頭は良いのだが、反応が極めてデジタルで、深みがないというか、心にしみる感じのない人(特に若い人)にときたま出会う。全てのことを単なる表層的な情報としてそのまま処理しているというか、とにかく恐ろしく厚みのない判断をしている感じを…

Roger Tsienと今回のGFPのはなし

Leica M7, 50mm Summilux F1.4, PN400N @Caltech GFP、クラゲの蛍光タンパク、なんでそんなものでノーベル賞、なんて思っている人は多いだろうなと思う。 でちょっとだけ。ちなみに今日は熱が出て早引け(といっても会社を出たのは五時過ぎ、、、)。お昼に…

アテンションプリーズ!、、、「気を向けるとき」「ながら行動」の脳神経科学

コレもまた、umamiの話と同じくアメリカ研究時代のメール配信ですが、今もニューロサイエンス的にも実はマーケティング上も様々な意味があると思うので、また個人的な記録をかねて再掲します。(Science News 11/7/2000より) 最近話題がニューロサイエンスに…

日本である種まがいもの的な脳科学、大脳生理学、ニューロサイエンスが広まっている理由について(考察)

Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Sterling Memorial Library, Yale University この間からのquartaさんのディープな投げ込みに対して、色々コメント欄に書かせていただきましたが、(これとかこれ)、その延長で、ここいらでなんで日本にはこういうまがいもの的…

「個」はどこから発生するのか?脳だけあればその人といえるのか?

quartaさんのディープな投げ込みに対するエントリー2です。:) 個うんぬんについては、僕が北米で研究していた当時、「くちコミの研究」で有名な森俊範氏が来訪され、同様の質問をされ、そのとき、僕の考えを話して盛り上がったことがあります。結論から言…

脳は臓器なのか?

これは、先ほど(?)quartaさんより頂いたdeepな投げ込み、ご質問に対してのエントリーです。 僕は脳が臓器かどうかということにはほとんど関心がありませんし考えたこともありません。明らかに独立した特定の機能を持つ一塊の存在があるというだけの理解です…

アメリカはやっぱり味盲の国、、、?

先ほど面白いウォールストリートジャーナルの記事を見つけました。英語が得意な人はご覧になってはいかがでしょうか? Americans are taught from an early age that there are four basic tastes -- sweet, salty, sour and bitter. . .(我々アメリカ人は…

UMAMI、うまみ、旨味(続編)、、、化学調味料、味の素は身体に悪いのか?あるいは味盲になる?

こんにちは。 前回の「UMAMI、うまみ、旨味」では、随分沢山の方からお返事を頂きありがとうございました。テーマがテーマだったせいか、それとも私がリストの整理をすると書いたせいか、かなり多くの意見を頂いたので、代表的なもの三つにお応えしたものを…

UMAMI、うまみ、旨味 (Science News 2/11/2000より)

米国研究当時、ニューロサイエンス以外の世界の友人にも分かってもらえそうな話があれば、Science Newsというメールコラムで時折発信していました。これはそんな中の一つです。その中でも思い出深いものをちょっとずつ載せていけたらと思います。_二月になり…

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか (最終回) 、、、および現在のニューロマーケティングについての個人的所見

(前項より続く) Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris まとめ 以上、駆け足で脳活動の把握について現在利用可能な技、方法論を一通り見てきた。いずれのアプローチも脳の実活動を見るにはかなり限界があり、従っていったいどのような脳の活動パタンがどのよ…

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか (5)

(前項より続く) Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris もう一つ、光で見るかなりクールな方法がある。Optical imagingという手法だ。神経細胞の興奮状態で、神経の膜の屈折率が変化することを利用して、活動や脳の見えない微細な「構造」をダイレクトに調べ…

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか (4)

(前項より続く) Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris (3)光の信号による方法 脳や神経をむき出しにする必要があるが(つまりヒトでは困難)、膜の電気的な興奮状態で蛍光状態が変わる特殊な染料(voltage-sensitive dye)を用いると、電極のように点ではなく…

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか (3)

(前項より続く) Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris (2)電極を使う方法 では当然、次に電極を刺せば良いではないかという話になるが、それは生きている人間の脳についてはほぼ人道的に不可能。また、仮にサルやラットを相手に研究したとして、電極は同…

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか (2)

(前項より続く) Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris fMRIは頭蓋骨を開けずに脳の活性部位を調べることが出来る、、、つまりヒトでも出来、なおかつ生理学的手法を身につけていない部外的な研究者でも参入できる、画期的な方法であることは間違いないが限…

現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまで分かるのか

Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Paris 先日、何気なくclarificationのつもりで書いたニューロサイエンス、脳科学、あるいは大脳生理学についての説明))に思いのほか反響があったので、専門的な生理学的研究法に関心を持つ人のために、数学などを使わずに、も…

クオリアや印象を神経活動から研究するというのは、具体的に何を意味しているのか?

これは蒼龍さんの以下の記事に触発されて書いています。 http://d.hatena.ne.jp/deepbluedragon/20080627/p1 - そもそも体験から来る統合されたもの(印象など)を、神経の活動から考えたとして、どういうことになるのか、あるいは何がどう分かると分かった…

脳科学、大脳生理学とニューロサイエンス

Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @New Haven, CT ニューロサイエンスについて一言も触れないままここまで来てしまった。少しこの辺りで整理しておいたほうがよいと思うので残させていただきたい。 - ニューロサイエンス(neuroscience)という学術分野はどうもこ…

脳は「市場」をどう感じるか (最終回)

(3)より続く Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Tyrol, Austria 脳神経系から見た知覚、記憶のポイントについて、一つここまで言及してこなかったポイントに触れて、最初のイントロを終了したい。 それは、恐怖、あるいは快楽という感覚的な色づけ(必ずしも「感…

脳は「市場」をどう感じるか (3)

(2) より続く Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Tyrol, Austria 「市場」をどう感じるか以前の神経系の情報認知の特徴だけで三回目になってしまいました、、、。ちょっとテーマが大きすぎたかもしれません。が、気を取り直して続けていきたいと思います。 - 4つ…

脳は「市場」をどう感じるか (2)

(1)より続く Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Tyrol, Austria 3「理解」におけるポイントについては、まずどういうときに我々が何かを理解したと思うのか考えてみたい。 飲み屋に行くと「分かる分かる」という話が始終聞こえてくる。また、僕らが、ちょっと難し…

脳は「市場」をどう感じるか (1)

Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Tyrol, Austria 15年前に消費者マーケティングの世界に入ってまず驚いたのは、とにもかくにもやたらキャッチコピーなのか、信念なのか良く分からない考えが撒き散らされていることだった。いわく、ファーストムーバーアドバン…

ブレッソンやキャパとマグナムを立ち上げたアーウィットの有名な写真にカリフォルニアキスという作品がある。 そこには色は全くないのだが、恐ろしく鮮烈にイメージが残る写真だ。 驚くほどのビビッドなイメージが、自然なフレーミングと背景のもとに映し出…