自民党総裁選とアメリカ大統領選を見ていて思うこと


Leica M7, Summilux 50mm F1.4 @Washington DC


日本でもアメリカでも選挙がホットだ。


みんなそれは毎日気付いていると思う。で、毎日別に何を見るという訳でもなく、そういうニュースが入ってきてそれを見ていてつくづく思うのが、自民党アメリカの共和党のしぶとさというかしたたかさだ。


本当にこの二つの政党は良く似ている。とにかく政権を取るということに関しては異常な嗅覚を持っていて、それが実にうまくワークすることが多い。


アメリカの共和党は、日本から見ると単なる二大政党の一つで、民主党と単に大統領の議席を取り合っているように見えるかもしれないけれど、かなりの部分そうではなくて、歴史的に見れば大多数の普通の時は共和党、そうでないかなりヤバい時は民主党という風な歴史を繰り返している。で、結果、スゴーク有名な大統領はケネディにせよ、クリントンにせよ、あるいはニューディール政策で有名なフランクリン・ルーズベルトにせよ民主党だったりする。しかし、大多数の平時の時だとか、単に不安が高まっているようなときには共和党は異常に強い。


アメリカで生活していた人だったら、共和党のこと、新聞やニュースのヘッドラインではどう書かれるか知ってると思う。通常、Republicanではなくて、GOPと書いてありますよね。


で、これって何の略語か知ってますか?


ぼくがアメリカで研究していた頃、何でもアメリカのことを教えてくれる素敵な女の子がラボ(研究室)のテック(technician)にいたんだけれど、ある朝、ラボについて電車で拾ってきたニューヨークタイムズかなんかを見ながら聞いてみるとびっくり。、、、Grand Old Partyの略らしい。Great Old Partyだと思っている人も沢山いるって言ってた。(!)


これってヤバいと思うのだけれど、アメリカの面積の98%ぐらいを占める田舎ではこの政党はこの名前から匂う通り、非常に強い。絶対的に民主党が強いのは、ニューイングランド、ニューヨーク、そしてカリフォルニアだけ。そして都市部の意見とは関係なく、ブッシュ息子みたいなのが選ばれてしまう、、、、。



あそこにはかなりのしたたかさがいつもあって、アメリカ人の好きなどーんとした感じというのを打ち出すのがとにかくうまい。ブッシュはそれだけでなったようなもの。彼が大統領になるまえの選挙の時、いきなりカーボーイブーツを「スーツの上に」はいた馬鹿息子(でも巨大なテキサス州の知事)がU.S. Newsというアメリカのアエラみたいな雑誌(僕の理解では日本にはTimeにあたる雑誌はない、、、朝日新聞さんゴメン)で、ふんぞり返っているのを見て本当にびっくりしたが(時代錯誤もいいところ)本当にびっくりしたのはそこの発言。


、、、「どんなに副大統領候補が素敵だって(当時コネティカットの元法曹トップの人格者、初めてのユダヤ人副大統領候補、ジョー・リーバーマン民主党ゴアのペアだった)、結局選ぶのはオレかゴアのどっちかだからカンケーないよ、you folks!*1


なんて本気で言っていて(それが彼の才能)、その図太さが危険だなあ(これに引かれて投票する馬鹿がいっぱいいるだろうなぁ)なんて思っていたら、案の定、ありとあらゆる手を使ってあり得ない接戦に持ち込み、最後は政治的な踏ん張りでなぜだか裁判所の力で大統領になってしまった。


今回もこんなこと書きたくないけれど、結構危険きわまりない感じ。それは、ちょっとこの間アメリカに行っていたときに、オバマブームがばりばりに起こっていたときにかなり感じた。(下の写真を参照されたし。)



Leica M7, Summilux 50mm F1.4 @Washington DC


こういうのが大体おかしくなって、最後がひっくり返ることがあんまり多いからだ。オバマはHarvard Law Reviewの黒人初の編集長をやっていたぐらいのインテリだけれど、そもそも黒人をアメリカ白人の大多数が生理的な感覚として、代表に受け入れるかどうか微妙な上、あんまり担がれていて、そのまんまというケースは実に実に珍しいからだ。


そうかと思っていたら、案の定、オバマの相手の手の内が分かったタイミングで、たった68万人ぐらいしかいない(これって沖縄の半分、鳥取レベル)、もちろん全米一、人のいないアラスカ州のミス準アラスカなんていうなんだか分けの分からない(これだったらミス世田谷とかミス目黒の方が圧倒的に難しそう)という、子供が沢山、しかも17の娘が妊娠中!なんていうアラスカの「美人」州知事を連れてきて、オバマの最大の強みである出自の衝撃を奪い(女性の副大統領候補はちょっと調べないと分からないけれど、僕が高校生のときだから、24-25年前のジェラルドフェラーロ?とかいう人以来だとおもう。、、しかも共和党初!のはず)、更にマケインは今アメリカで冷戦の再発になりかねないとして大騒ぎしている戦争関連の話(なぜか全く日本のニュースにならない)でどーんと「オレは戦争に行った。断固とやる」なんて言ったものだから、もうヤバい状況。、、、本当したたかです、GOPは。



かたや自民党。普通に党と党がぶつかり合う戦いになるとヤバいことがヨーク分かっているため、必ず総選挙の前に、党の「中」での戦いをマスコミを使えるだけ使って盛り上げる。訳の分からない「あなたとは違うんです」でも「僕には先が見える」の超能力発言でもなく、この総選挙直前のこのタイミング、しかし総裁選をやる時間は十分にあるこのタイミングで、民主党の話の出ばなを完全にくじいて、引退を表明するあの自民党の政権維持にかけた遺伝子的な判断(そういう意味では福田さんは完全に自民党の総裁)は見事というほかない。


これで大騒ぎを見続けていたら、誰が自民党総裁(当面の総理)になろうと、結局年末の選挙はかなり自民党に有利になるのは当然。まえの恋愛のステップ論で言うと、関心レベルがとにかく上がり続けた状況が続くのだから、その総裁選で勝った人は、たとえ自分たちが全く投票していない、単なる一政党の代表といえども、すでに選んだ人みたいな気分になってしまい、その政党である自民党のサポート率は高くなる、、、うーん、あまりにもしたたか。考えていてもしたたかだし、考えずにもこういう合意が生まれる体質だとしてもしたたか。


小池さんなんて、みんながサポートしてくれるから出ますなんて言っているけれど(やれと言われないとやらない程度の人なら総理にならない方がまし、、、という正論は決してこの国では出ない)、本当のところ、この辺りもとーくから見ていると結局自民党が政権を取るための仕組みのパズルにすぎないように見えてしまう。

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心ではがんばれオバマ、がんばれ民主党とは思うものの、この両政党の異常なくらいのしたたかさの前には本当舌を巻きます。


メディアの人は分かっているのかどうなのか良く分からないけれど、とにかくこのまんま自民党やGOPの狙い通りに騒がないでほしいし、普通の人はこの辺の計算をもう少し考えてほしいなと思うのは僕の単なる杞憂ではないと思うが、皆さんいかがでしょうか。



ps. 今日は珍しく政治の話題、、、といってもかなりタクティカルなマーケティングの話でした。



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*1:この言葉普通絶対に大統領が使うような言葉ではない