From CT to DC (11) : ジョージタウン、そしてプリンストン(最終回)


この町 (Washington DC) に何日もいると、「見る」ということに疲れてくる。Georgetown(大学)のラウンジに入り、金髪の女の子が勉強している姿を右目に一息つく。左目には、遙かに広がる青空と浮かぶ雲。高台にあるからか、ソファに沈みながら空を見ていると、まるで自分が浮かんでいるみたいだ。静かで、止まった時の中、ラテ*1を飲む。


見渡すと勉強しているのは白人の女の子ばかり。不思議な感じである。あまりにレアなためか、異質に見られることもなく、静かにくつろぐ。このまま眠ってしまいたい。



Contax T2, 38mm Sonnar F2.8 @Georgetown University



翌日、


大いなる墓場DCをいでて、北に向かう。三百マイル(約五百キロ)もの旅だ。ゆっくりもしてられない。ニューヨーク通りを抜け、五十号に入る。その道がそのまま、北へ続いていく。


途中バルティモアで、昼ご飯を食べる。シーフード食べ放題のバッフェにはいるがこれが過ち。シーフードとは名ばかり、うまいのは貝だけ。ザリガニがメイン。代わりにというわけでもあるまいが、一リットルもあろうかというほどの炭酸水を与えられる。僕は牛じゃないぞ。


更に北へ。


休憩もかねてNew Jerseyに入ったところで、プリンストンに立ち寄る。美しい、小さな、そしてmatureで、心の安らぐ素晴らしい大学。これまで見たどのアメリカの大学よりも、愛すべき、そして大学らしい大学だと感じる。バークレー*2とイェールの良いところを足して二で割った感じ。日本でつまらぬ大学生活を送ってしまったことを少し残念に思う。こういうところで、四年間、選りすぐられた学生たちと生活を共にすることが出来れば*3、その後の生はどれほど違ったものとなっただろう。まあ高校の頃、好きなことばかりして、なかばドロップアウトだった僕など、きっと入れなかったに違いない。人口が日本の二倍以上なのに、定員がどこも千人ちょっとぐらいしかないアメリカのトップスクールは実に入るのが大変なのである。日本で定員五百人ぐらいの大学だと思えばよい。僕の今いるイェールでも、カレッジ(大学生)の連中を見ると、高校時代ピアノで全国二位だったとか、National Merit Scholarに選ばれていたなどという、!が三つぐらい並びそうな連中がごろごろしている。


良い町を最後に訪れることが出来てとても良かった。

        • -


ここまで来れば、もうコネティカットは目と鼻の先である。マンハッタンの摩天楼が目に入ってくる。


到着だ。



(CT to DC 完)

(April 2001)

            • -

ps. twitterでのアカウント、2年以上ほとんど止まっていましたが、徐々に使い始めました。ハテナと同じハンドル名です(@kaz_ataka)。


ps2. このエントリに限らず、写真にもスターなど頂けたりするととてもうれしいです。また、よろしければ下のリンクをクリックして頂けると幸いです。


Subscribe with livedoor Reader

*1:Cafe Latte:エスプレッソに泡立てたミルクを混ぜ込んだ飲み物。(←2009年追加註。スタバも上陸していない当時、説明が必要だったことで時代を感じる)

*2:UC Berkeley (The University of California at Berkeley) Science、Artsの全分野に渡る強さ、生み出したノーベル賞の数などアカデミクスでは間違いなく世界の頂点に立つ大学の一つ。学生運動など、リベラリズムの総本山でもある。サンフランシスコの北、バークレーの町にある。緑と青空の美しい大学である。

*3:Ivy Schoolsはほとんど全寮制である。