ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

kindleと電子ペーパー時代の到来

Amazonkindleを入手した。



Lumix GH1, 35mm Biogon F2.0


日本からでも買えるようになったというニュースを耳にして、躊躇することなく申し込んだので、きっと日本に届いた最初の数百台かそこらの一台なんじゃないかと思う。昨日もオフィスで色々持ち歩いたが、誰もが結構興味津々で、当面、話題作りには事欠かない感じがする。案内が出てすぐに買ったのは発表が流れた朝6時過ぎに買ったiPod nano以来だ。


アメリカ生活時代のアカウントがあったのでそのまま申し込んだが、そういえばアドレスが変わっていることに気付いて、住所を変更した。送付前だとこういうことが簡単にできるのがアマゾンの直販部分についてのいいところだ。


届いてまず目についたのはそのハコの小ささだ。アマゾンといってもこのところ日本でばかり買っているので、そのコンパクトさはすごいなと思った。開けてみてすぐに気付いたのは、実はこのハコはkindle専用で、内側にアップルのようなハコが入っているのではなく、そのものがケースなのだった。さすが物流で名をなしたアマゾンだけあって、これは気が利いている。



カメラとの写真でその大きさが分かってもらえるだろう。



起動する。


といっても上のスイッチをクイッと右に一度動かすだけだ。透明な保護フィルムで覆われていたので、そのフィルムに印刷されていたのかと思っていた画面が、なんと画面表示であったことに気付く。えっ、と言う感じだ。


不思議な違和感がある。というのは日頃見てきたスクリーンとはかなり違うからだ。画面に文字が張り付いている感じがする。実際、どんな角度であっても字が読める。これまで見てきたどのような表示形態とも違う。最近携帯に使われるようになった有機ELのように光っている訳でもない。バックライトもない。


人に見せていて分かったのは、これが電子ペーパーというものだということだった。原理的には荷電した色の付いた粒子が膜の上に来たり下に上下して(分子生物学を学んだ人にはおなじみの電気泳動方式だ)、文字が現れているらしい。子供の頃、よく砂鉄が入っていて色々字を書いては消せるおもちゃの板があったが、あれのハイテク版だ。


のっぺりしていて灰色の紙のようにしか見えない。実際、見せた何人もが、これはモック?と僕に言った。本物の画面に見えないのだ。



早速、買ったらすぐに読もうと思っていたNew York TimesとTimeを入れる。最初の14日はただなので、合わなければやめようと思うが、きっと一月ぐらいは読むだろう。NYTが27.99ドル、Timeが月に2.99ドル。まあまあアメリカでの定期購読プライスより少し低めのCP *1も受け入れやすく、ユーザも納得するナイスなプライシングだ。毎朝、世界の主要な新聞のトップページをウェブでスキャンしているが、これで通勤や移動中も読めると思うととてもうれしい。情報はWiFiで拾う*2。本はすでに29万8千冊以上ある。


操作は、端末の右下にある、5-way controllerというキーで殆ど行う。ページめくりは左右にあるボタンだ。このコントローラーはThink padの赤い棒とiPodを組み合わせたような一つのキーで押すと選択(連続ハイライトなどもマウスのように出来る)され、上下左右にカーソルを動かすこともできる。


暇を見て使って見ているが、三つほどすてきだなと思う気付きがあった。一つ目は、とにかく読んでいてつかれない。まさに電子ペーパー表示の効用だと思うが、液晶のコンピュータを見ているよりも、全然疲れない。


二つ目にこれはと思ったのは、辞書が完全に一体になっていること。カーソルを重ねるとその意味が、一番下に出る。これは便利だ。新聞などは短縮表記でたまに普通の口頭では使わない言葉を使うことがあるが、こういう時には一発だ。久しぶりにもう英語を覚える気のなくなってしまった*3僕も、またがんばろうという気になってきた。笑


三つ目は、クリッピング。アンダーラインや、メモ書きがどんな記事や読み物に大しても出来るのは、さすがデジタル「本」ならではだが、これはと思う記事をワンクリックでクリップしておけるのはすごい。これとPCとの連動がとても気になるが、これは徐々に解明して行けるだろう。

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逆に使っていてこれは困るなと思ったのは、いくつかあって、一つ目は、本のページで検索して、あるタイトルをクリックすると、本の詳細になるのだが、そこでデフォルトでBUY(「買う」)がハイライトされていることだ。(一番上の写真を参照)


実は、会社で知人に見せている時に、どうやってkindle storeから本を買えばよいのかという話になって、見せていると、いきなりその画面に行って、思わずBuyを押してしまった。その彼が、あれは100ドル以上していたのじゃないかなんて言って脅すので、しらべてみると12ドルの本で良かったが、あれは日本的にはかなりまずい。全く無確認で購買になってしまう。


これは、明らかに何でも上述の万能コントローラーでやっていることの欠点だが、意図的な部分を多分に感じるので、これはちょっとやりすぎ、あるいは図に乗っていると思う。これって確か日本のネットコマースのルールに反しているんじゃないかな、なんてその見ていた彼と言っていたのだが、専用端末ということで、逃れているのかもしれない。もしかすると、日本に上陸できなかったのは、著作権法というより、この辺りの当局との擦り合わせがやっかいだったのかもしれないな、なんて思ったりもする。


もう一つはケースで、何もついてこないので、どのように持ち運べば良いかちょっと今のところ思慮中だ。とりあえずアマゾンの正規のケースを追加で買うことにしたが、別途送料がかかることを考えると(USなのでただにはならない)、これは買っておけば良かった。それと売る時にケースが要るよと、まだユーザのいない日本の人たちには教えておいてくれれば良かったのに、とちょっと思う。

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いずれにしてもかなり面白いデバイスだ。かれこれ20人ほどに見せたが、半分以上が未来を感じると言っていた。物流革命でもあるし、読み物革命でもある。表示技術の革命でもある。こういうものがハイテク王国、モノ作り王国であるはずの日本から出てこないことがちょっとかなしい。


日本の二バイト文字や、ビット情報としては重すぎるマンガが載るのは遠い気がするが、こういうことが我々のイノベーションを阻害しているとするとこれは大きな問題だ。少なくとも、こういう変化が当面英語圏から起こる以上、20代以下の若い世代は、英語に対する恐怖心、隣ムラ意識など持たず、こういうものを空気のように吸い込んで行ってほしいナと思う。



Let's have a great weekend!!



(追伸):

更にこの週末触った結果、テキストを読み上げてくれる機能と、文字の大きさと一行の単語数を操作できる機能を発見しました。キーボードのAaキーを押すと操作画面が出てきます。なお、この機能のために、内蔵スピーカーだけでなく、上にiPodと同様のマイクロヘッドフォンジャックが付いています。


読み上げは、男性、女性の声が選べ、スピードも早め、遅めに出来ます。英語教育上も革命が起きるかもしれませんね。少なくとも高校時代や大学時代の僕はこれがあればかなり助かった気がします。あと僕は老化のせいか、疲れている時は英語の場合、聞いてる方が楽だったりするので、これはなかなか重宝しそうです。

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ps. このエントリに限らず、写真にもスターなど頂けたりするととてもうれしいです。また、よろしければ下のリンクをクリックして頂けると幸いです。

*1:contents provider コンテンツ事業者

*2:と書いたが、どうもどこに行ってもつながる。調べてみると、amazonと携帯電話会社が契約していて、そのために大半のところで、事実上タダで接続できるようになっているようだ。これはオドロキのスキームだ。

*3:特に辞書なしで大体のものが読め、聞けるようになってしまった