
The Afsluitdijk, Netherland
1.4/50 Summilux ASPH, Leica M10P, RAW
風の谷、すなわち過密な都市集中型社会に対するオルタナティブづくりを、100名近い様々な分野の専門家や候補地の方々とともに8年近く検討してきた。これに基づき、先日、存続可能(viable)かつ持続可能(sustainable)な疎空間の条件についての検討をまとめて世に問うたばかりである。
出版してまもなく、東京都副知事の宮坂学さんと話す機会があった。白馬村にも活動ベースを持ち、長らくコミットされてきた宮坂さんからは興味深い提案を受けた。疎空間側は方向性が相当にはっきりしたので、次は「残すに値する都市」についても考えてほしい、とお題を頂いたのである。*1。
この数年つらつらと考えてきて、東京都の方々や国の方々にもお話してきたが、「谷本」(「風の谷という希望」)には入れようがなかった内容の一つをここで共有できたらと思う。
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今年の夏も記録的な暑さと豪雨が日本列島を襲った。もはや「異常気象」という言葉すら時代遅れだ。気候変動は日常の現実となりつつある。昨日は台風15号で富士山静岡空港が水没したという報もあった*2。水害の激甚化はすでに予測の域を超え、現実のリスクとなって久しい。
この現実は、日本の三大都市圏にとって特に深刻な意味を持つ。東京・大阪・名古屋という経済と文化の中枢は、海抜の低い沿岸部に集中して発展してきた。だが気候変動の進行により、かつて立地の利点だったこの条件が、今や深刻なリスク要因へと転じつつある。
三大都市圏の脆弱性
江戸文化を生み、育てた江東五区は、東京の経済と文化の象徴ともいえる存在だ。だがその繁栄の基盤は主要河川と海に近い低地にある。温暖化による海面上昇や高潮リスク、集中豪雨などのリスクが高まるなか、今や首都圏でも最も脆弱なエリアの一つとなっている。
中央防災会議によれば、荒川右岸低地が氾濫した場合、地下鉄の多くが水没することが予想されている*3。このリスクは当該地区にとどまるものではない。後楽園駅や神保町駅、霞ヶ関駅、六本木駅など44の駅では、地上の浸水がなくても地下が水没することが判明している*4。
維新後、20世紀の頭まで日本最大の都市であった大阪は、縄文時代には上町台地と河内平野を除けば海だった。大阪駅/梅田駅前の標高は10-25cmだ。名古屋の西側の水田地域が輪中と呼ばれる特別な防潮堤で囲まれていることを、小中学校で習った人も多いだろう。木曽川、長良川、揖斐川という3つの大河川(木曽三川)が流れ込む伊勢湾の左岸は低地で稲作には適している。一方で水害が多く、伊勢湾台風(1959年)では5000人以上が亡くなり、災害対策基本法の制定につながった。
これら日本のエンジンと言うべき三大都市圏の構造は、想定外の水災害に本当に耐えられるのだろうか。
加速する気候変動リスク
国際的な科学的知見も警鐘を鳴らしている。IPCCや各種報告によれば、日本の湾岸都市では今世紀末までに海面が0.3〜0.45m上昇すると予測されており*5、豪雨・台風の強度増大によって水害リスクはさらに高まる見込みだ*6。
南極の氷の減少はこの15年あまり加速している(次図)。日本全体で見ても、明らかに雨の振り方の集中化・激甚化が進み、土砂災害は増えている*7。かねてから本ブログでも訴えてきた地球との共存問題だ。

Source: The IMBIE team "Mass balance of the Antarctic Ice Sheet from 1992 to 2017." Nature, 2018, 558.7709: 219-222. Figure2
kaz-ataka.hatenablog.com
世界の都市リスク分析では、浸水リスクの高い36都市のうち東京が1位、大阪が4位にランクインしている*8。もしこれら三大都市圏が長期かつ広域で水没すれば、経済的損失は地域ごとに数10兆円では済まず、場合によっては100兆円規模になる可能性がある。発生する避難民も100万人単位となる。実際、気候変動による浸水被害の日本全体の損失は、2050年に151–181兆円、2100年に243–455兆円にも達すると見積もられている*9。インフラ・産業・住宅の被害、サプライチェーンの寸断、人口移転などを考えれば、その規模は日本全体の成長軌道を根本から揺るがすだろう。
新たなアプローチの必要性
災害が激甚化する中でどのように生き延びられるレジリエントな空間を作るかは実に大きな問題だ。疎空間は都市の助けが来ないと自分で復旧できず、なおかつ都市部の後回しになりがちで、実は脆弱性が高い(「風の谷という希望」第5章参照)。一方で人口だけでなく文化的にも経済的にも集積する大都市部では、被害規模そのものが桁違いに大きくなるという別の深刻さがある。
日本政府や都道府県、基礎自治体は、防潮堤・排水施設の強化や河川改修など、流域視点を取り込みつつも従来型の治水対策(強靭化≒robustness強化)を進めてきた。だが温暖化が進むなかで、「浸水を完全に防ぐ」のではなく、「浸水を許容しつつ被害を最小化する」適応型(adaptation/alleviation)アプローチへの転換がむしろ必要な局面だ。20-30年スパンで考えれば、防御と適応の先にある都市・インフラ構造の創造的再編(transformation)まで視野に入れるべきだろう。
人口調整局面にある中でも、三大都市圏では大型ビルの建設が進む一方、水没回避の取り組みやプランは上述の堤防と貯水池強化程度にとどまっている。僕が都や国の仕事などで様々なコアパーソンに接する限りでは、リスクを甘めに見ているか、リスクを理解している人は半ば答えがないとして思考停止していると行っても良い状況だ。巨大都市を持続的に守るには、地球との共存を前提とした巨大なインフラが必要なのではないだろうか。
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では、創造的再編の一つの可能性として、どのような選択肢があり得るのだろうか。
インドネシアの首都ジャカルタのように移転する場所があるなら検討もしうるが、この3大都市圏の移転先などどこにも存在しない。仮にどこかに候補地が見つかったとしても、主要施設、会社や人口の移転にはそれぞれ50年程度は最低でもかかるだろう。
防災×都市検討の国を代表する専門家から、江東五区について検討された二階建て都市化のようなアイデアを聞いたこともある。土地の嵩上げはほぼ不可能なので、二階以上を繋いで街にする(いざというときには道が水没して舟に頼る。下水の逆流も止める。)というものだ。しかしその先生も認める通り、社会的・経済的コストを考えれば現実化は難しい。
江東五区では、20世紀、1960年代までの地下水の汲み上げ過ぎで最大5メートル以上、地盤が下がってしまった*10。水と緩やかな砂利や砂構造で支えられていたものが水を抜いたために、最密充填に近づいた結果である。水などを入れても押し上がることはない。原因がわかっても打ち手がない。『風の谷という希望』で強調した通り、コインの裏返しは答えにはならないのだ。
オランダの「海との共存」モデル
ここで一つ参考になると思われるのが、国土の1/4以上が平均海面よりも低く、国是として「海との共存」を徹底的に追求してきたオランダの経験だ。
オランダと言えば風車を思い起こす人も多いだろう。低地から水を恒常的に汲み上げ続けるために広く導入されてきたものだ。キンデルダイクは、歴史的な風景がそのまま残っている場所としてその代表例の一つで、オランダの心象風景そのものだ。

キンデルダイク風車群(筆者撮影)
オランダの首都、アムステルダム自体が水路の街だが、東京や大阪で深い川を見慣れた眼からすると驚くのは、どこの街に行っても水路の水面が路面からせいぜい1メートルしか離れていないこと、そして雨でも路面が水に覆われることなどないことだ。完全に水の流量をコントロールできているということだ。

オランダの歴史ある学術都市、ライデンの街なかの水路(筆者撮影)
そのオランダは現在、アムステルダムを取り囲むアイセル湾(IJsselmeer)を二重の巨大な防潮堤で取り囲み、首都も歴史も文化も守っている。外洋である北海(ワッデン海)とアイセル湖を分離するアフスライトダイク(Afsluitdijk)と、その内側にあり北側のアイセル湖と南側のマルケル湖に分割するハウトリングダイク(Houtribdijk)だ。

Source: Google Maps (accessed September 6, 2025)
いずれも幅は海中の基礎部分までいれると100メートルを超え(陸上部分は約90m)、長さはそれぞれ32kmと26km。現代で作られた最大級に大規模な構造物の一つだろう。クルマで走ると、大半が驚くほど真っ直ぐで、海の上なので当然だが、完全に平坦だ。アメリカ横断などで体験するアリゾナやネバダで果てしなく続く道とも全く違う独特の体験だ。

上空から見たHoutribdijk
Source: Snempaa, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
File:Houtribdijk vanuit de lucht.jpg - Wikimedia Commons
このプロジェクトでは、1万年に一度級の大嵐にも耐える堤防を築き、野生動物の生息地と人々の憩いの場も同時に創出した*11。これらは単なる防潮堤ではない。高速道路・再生可能エネルギー施設・地域開発基盤としても機能し、自然環境と共生するインフラとして設計されている。
北海側には世界最大のウィンドファーム(風力発電施設群)も広がり、国土の安全と経済・エネルギーを一体化する未来像を体現している。

The Afsluitdijkとその横に広がる風車群(筆者撮影)
注目したいのは、彼らが築いたのは固いグレーインフラ型の防潮堤ではなく、大半が砂と粘土、石でできている自然環境と共生するネイチャー・ポジティブ(nature positive)なグリーンインフラだということだ。言ってみれば巨大な漁礁なのだ。この新しい汽水域では、うなぎ、スズキ、コイなど様々な魚の養殖や漁もされている*12。

アフスライトダイク(Afsluitdijk)の断面図*13
「ネイチャー・ポジティブ」とは、自然環境の損失を食い止め、生物多様性の回復や生態系の健全性を向上させることを目指す概念だ。経済活動や政策を通じて、自然への負の影響を最小限に抑え、積極的に自然を再生・保護するアプローチを指す。*14
小型船やレクリエーションボート、漁船、運搬船などは水門を通じて移動可能だ。大型貨物船やコンテナ船は、アイセル湖やマルケル湖の水深や水門のサイズ制限により、通常は外洋(北海)や別の大型運河(例:アムステルダム港の北西海運河/Noordzeekanaal)を使用している。
まさにオランダの誇りと言える。
日本への適用可能性の検証
では、日本ではどうだろうか?
オランダの成功事例を見ると、「もしこれを東京湾・大阪湾・伊勢湾に導入できたらどうだろうか」という期待が湧いてくる。しかし実現可能性を検証するには、日本固有の条件を踏まえた冷静な分析が不可欠だ。
まず地理的条件を見ると、日本はオランダよりも技術的に挑戦的(challenging)な条件に直面している。
- 東京湾:内湾は平均水深約15m *15
- 大阪湾:水深20m以浅が全域の約46%を占めるが一部はさらに深い *16
- 伊勢湾:平均水深は約20m。湾の中央部で約35m *17
一方、オランダのアイセル湖は平均水深4-6m程度である。日本の三大湾は水深が3〜5倍深い。より深い海での基礎工事やより大規模な構造物設計、さらに地震対策まで考慮すれば、技術的ハードルはオランダの比ではない。とはいえ、これらは日本が世界をリードする技術分野でもある。実際、東京湾アクアラインや明石海峡大橋、青函トンネルなど、日本は世界でも類を見ない困難な海洋・地下工事を成功させてきた実績がある。
オランダの経験から学びを取り入れつつ進めれば、十分現実的に取り組めると考えられる。日本とオランダは鎖国時代からつながる長い交流の歴史があり、お互いの敬意も心理的親和性も高い。両国の技術交流を踏まえた開発は、世界の海洋土木に新しい地平を切り開くことになるだろう*18。
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次にコストである。オランダのアフスライトダイクは80年前の建設費が約1.25億ユーロ、近年の大規模改修でも約8億ユーロだった。しかし日本で同規模の施設を建設すれば、深い水域や耐震要件を反映してざっくりそれぞれ3~8兆円規模程度になると推計される。*19 要素としては以下のようなものが含まれるだろう。
- 堤防+道路(2×2車線)+付帯管路等
- 大型航路ゲート複合体(閘門・可動扉・附帯構造含む)
- 排水機場
- 環境影響・調査・補償・漁業対策
- 取り付け道路・JCT・送配電・不測・設計監理
関西空港の第一期建設費が約1.5兆円だったことを考えれば、大規模ではあるが現実的な範囲内の投資規模だ。
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一方で、この構想が実現した場合の経済効果は建設費を大きく上回る規模になると予想される。
最も直接的な効果は不動産価値の向上だ。高潮リスクが劇的に軽減されれば、これまで水害リスクによって価値が抑制されていた沿岸部の不動産価格は大幅に上昇するだろう。江東五区、大阪湾岸、名古屋港周辺など、現在リスクプレミアムが織り込まれている地域では、数十パーセントの価値向上も十分考えられる。三大都市圏全体の不動産価値向上だけでも、建設費に匹敵する経済効果をもたらす可能性がある。
さらに重要なのは、三大都市圏が長期的に安全だという確証が生む心理的安堵感の効果だ。企業の投資判断、個人の居住選択、都市開発計画—すべてが「この都市は将来も安全だ」という前提で行われるようになる。これまで気候変動リスクによって控えられていた長期投資が活発化し、都市の持続的発展に対する信頼が回復する。
保険業界にとっても大きな変化をもたらすだろう。現在、水害リスクの高まりにより保険料の上昇が懸念されているが、抜本的なリスク軽減により保険料の安定化、場合によっては低下も期待できる。これは市民生活と企業活動の両面で大きなメリットとなる。
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さらに環境面の影響も看過できない。大規模防潮堤は漁場や汽水域の生態系に変化をもたらす可能性がある。しかしオランダの事例は、防潮堤を単なる防災施設ではなくネイチャー・ポジティブなインフラとして設計し、漁業・観光・再生可能エネルギーと統合する道を開いた。
日本でも同様に設計思想を進化させれば、淡水化の影響を最小化しつつ、多機能なインフラとして再構築できる。三大都市圏が繰り返し浸水した場合の経済・社会損失は100兆円単位を超える規模であり、適切に設計された環境影響は比較にならない。
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そして最後に、社会的合意形成の課題が残る。しかし、これまでの大型インフラプロジェクトが示すように、適切なプロセスを経れば解決可能な課題でもある。
東京湾を例に取れば、内湾漁業への影響は避けられず、防潮堤建設は漁場の分断を意味する。一方で、オランダの事例が示すように、新しい汽水域は生物多様性に富み、漁業の新たな機会を創出する。実際、アフスライトダイク周辺では従来とは異なる豊かな漁場が形成されており、漁業関係者の多くが恩恵を受けている。
適切な設計により防災と漁業の両立は十分可能であり、移行期の補償や産業転換支援と組み合わせれば、むしろ漁業の持続可能性を高める機会となり得る。
加えて、東京湾には東京・横浜・川崎・千葉・横須賀・木更津の6港があり、年間20万隻もの船舶が航行する。これは確かに複雑な調整を要するが、同時に防潮堤が新たな物流拠点や港湾機能の拡張基盤となる可能性も秘めている。水門技術やスマートな運用システムにより、物流効率の向上と防災機能の両立が期待できる。
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こうして見てくると、これはあくまで一案ではあるが、江東五区・名古屋・大阪で恒常的に高まる水没リスクに対し、従来の治水対策では対応しきれなかった領域にまで踏み込む、現実的な解決策となる可能性がある。
技術的・社会的ハードルは確かに高い。しかし100兆円単位の被害が想定される三大都市圏において、防御と適応の先にある創造的再編の選択肢として、真剣に検討に値する規模感を備えているといえるだろう。
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とはいえ、これだけの規模とコスト、利害関係を考えれば、段階的なアプローチ以外に現実的な道はない。
仮に奇跡的に今年、三大都市圏で基本的な合意が形成されたとしても、実現には長期間を要するだろう。
第1段階(2025-2035年)
最も小規模で技術的検証が可能な場所での実証プロジェクトから始める。おそらく規模の小さい伊勢湾奥部または大阪湾支湾部で、まず可動ゲート単体+短堤防の試行が妥当。
同時に環境影響評価と全ステークホルダーを巻き込んだ合意形成プラットフォームを構築する。
第2段階(2035-2045年)
コスト・便益・合意形成・地盤リスクを精査し、大阪湾 or 東京湾を比較選定し、本格着工。政治・経済インパクト重視であれば東京湾、湾口幅・延長の短さ重視であれば大阪湾(明石海峡4km)。
第3段階(2045-2060年)
前段階の知見・実績を基に3湾体制へ拡張。
財源については、防災・減災、国土強靱化の観点から国費を中心としつつ、再生可能エネルギー事業などの収益事業と組み合わせた新たる事業スキームが必要になるだろう。
時間との競争
しかし、この段階的プランには決定的な時間的制約がある。海面上昇や台風の激甚化は待ってくれない。このニーズが切実になってからでは間に合わないのだ。
大規模インフラの建設には20-30年の期間を要する。つまり、2050年代に本格的な被害が予想されるなら、遅くとも2030年代前半には着工していなければならない。しかし合意形成、環境影響評価、詳細設計を含めれば、実質的には今すぐ議論を開始する必要がある。
インドネシアのジャカルタは全体として年間1〜15cm、沿岸部では最大20〜26cm/年で沈下し、首都移転を決断した。オランダは数百年かけて段階的に防潮堤を構築してきた。僕らにはそのような時間的余裕はない。
上記の段階的プランでさえ、第1段階から第3段階完了まで35年を要する。2050年代の本格的リスクを考えれば、議論の開始はもはや待ったなしの状況である可能性が高い。
新たな国土デザインの基盤として
当面加速する海面上昇局面における高潮や台風に対する防御だけでなく、新しい交通軸、再生可能エネルギー拠点、そして未来の都市空間を統合した巨大防潮堤構想。それは単なる防災投資ではなく、50年先を見据えた国土デザインの基盤となり得る。
重要なのは、これが単なる巨大公共事業ではなく、人口調整局面下の社会における包括的な国土再編プロジェクトとなることだ。世界最高水準の耐震防潮堤技術、AI・IoTを活用した水位制御システム、環境と共生する建設工法など、建設過程で生まれる技術革新は、将来のアジア沿岸諸国への技術移転という形で日本の新たな成長産業となり得る。
同時に、これは地球との共存という観点からも極めて重要な意味を持つ。気候変動という地球規模の変化に対し、自然を破壊するのではなく自然と調和しながら人間社会を守る。オランダが示したネイチャー・ポジティブなアプローチは、まさに地球との新たな関係性を築く先駆的な試みだ。この取り組みは、世界でも屈指の災害が起きやすい空間におけるレジリエンス強化と環境保護、経済発展を統合する持続可能な社会モデルの実証実験ともいえるだろう。
いまこそ、防御・適応・そして創造的再編の三層構えで、海面上昇と激甚化する台風にどう向き合うのか。それは同時に、地球との共存という人類最大の課題への新たな回答でもある。
時間は限られている。しかし、だからこそ今この瞬間から始めれば、十分間に合う可能性がある。これは単なる夢物語ではなく、技術的にも経済的にも実現可能な選択肢だ。起きてから対応するのでは桁違いのダメージになる。問われているのは、データの意味合いを踏まえ想像する力、決断、そして行動力だ。
(参考)
オランダ国 インフラ省(正式にはMinistry of Infrastructure and Water Management : インフラ・水管理省)による説明サイト、、それぞれ埋め込まれている動画が秀逸なのでおすすめ(各2分ぐらいです)
www.rijkswaterstaat.nl
www.rijkswaterstaat.nl
設計に携わる土木設計事務所のHPでの詳しい説明
hnsland.nl
国交省グリーンインフラ部隊の中心人物の一人である中村圭吾さん(風の谷 インフラ班メンバー)による新刊です。