知覚のポイントから見た商品、サービス打ち出しの原則


Leica M3, 50mm Summicron F2.0 @Toyama


市場における原子」の項でも少し書いたことに補足しつつ、ここまで議論してきた我々の脳が持つ4つの知覚の特徴、ポイントを考慮すると、力強い商品やサービスの打ち出しをしていくには、


「これまでにない異質で意味があるレベルの価値を、生活なり意味のある状況と関連付けて打ち出すこと」*1


が鍵になると言えます。(あくまでexecution、即ち実行が等しくちゃんと回ると前提にした場合、、、現実では、ここが企業の力の差の大きなところなので、思考実験的な状況での話。)


この視点で、いくつか典型的な商品、サービスの打ち出し方に関するマーケティング論?あるいはアイデアを少し検証、評価していきたいと思います。(ちなみにここで言う「打ち出し方」とは、マーケティングジャーゴンで言えばバリュープロポジション、すなわち提供価値、価値訴求、あるいは価値提案のあり方のことです。)


1.ファーストムーバーアドバンテージ
2.ポジショニング
3.セグメンテーション
4.三つのラダー(三つまでしか覚えられない)
5.トップ二つだけが強く生き残る
6.ブレイクポイント


他にも色々あると思いますが、打ち出し方に関して古典的によく出てくる考えとしては、例えばこのぐらいでしょうか。一つずつ見ていきましょう!



「ファーストムーバーアドバンテージ」へ続く)



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*1:しばらくこれを「押さえどころの原則」と呼ぶことにしたいと思います。

ファーストムーバーアドバンテージ

知覚のポイントから見た商品、サービス打ち出しの原則より続く)


First Mover's Advantage


これは読んで字のごとく、最初にその市場に入ってくると大きなアドバンテージがあるというもの。一見正しそうですが、では、世界で始めて、とか、本邦初、とかという商品が、なぜお金も人材もある大手の企業が取り組んだ場合でも軒並み失敗してしまうのでしょう?これらの結果から見ると、これは間違った原則のように見えるのですが、多少は真実があるのでしょうか?いずれにしても、それはどこに原因があるのでしょうか。


知覚に基づく「押さえどころの原則*1 をベースに考えると、「最初」の意味が大切ということになります。つまり、(1)どの程度その市場にとって新しいのか、あるいは異質なのか、ということが第一。最初に入っても、この異質性、新規性、その違いのレベルが弱いとほとんど意味がないことは脳の知覚の性質から見ると明らかです。


また、結局打ち出しの課程で、(2)どの程度、「生活なり意味のある状況と関連付けて打ち出せるか」ということがないとまず失敗することも明らかです。これが機能とかベネフィットばかり訴求して失敗してしまう商品の典型例です。ヨーロッパでは一番!といってやってきた90年代初頭のオペルなどもこの例に当てはまるでしょう。


つまり、以上二つの留意点に留意する限り、この原則は正しいということになります。ただ、この留意点の二つがあまりにも本質的なことが、この原則が当てはまらない実例がやたら多い一つの原因ということは言えそうです。(ブログなのでざっくりとした議論ですが、実行に問題があるケースが半分以上あることを差し引いてもこれはほぼいえると思います。)


ということでこの考え方の評価は30点。



ポジショニング:知覚の視点から見た活用の押さえどころへ続く)



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*1:これまでにない異質で意味があるレベルの価値を、生活なり意味のある状況と関連付けて打ち出すこと