Leica M7, 50mm Summilux F1.4, RDPIII @竹富島、沖縄
この何ヶ月かで直接聞いた言葉で一番びっくりした言葉の一つは、
"Japan is still a very important country for us, as the THIRD largest economy of the world."
(日本は中国に次ぐ、世界で三番目に大きな経済圏として我々にとって已然重要だ。)
と、と誰もがそのブランド名を聞き、その商品を日常的に使っていると思われる非常にグローバルなある消費材企業のトップマネジメントの一人から言われたときだ。
思わず、僕は"Third??"(三番目って?)と聞き、"Yes, as next to China.”(そう中国の次に)と答えられた。ある種、経営コンサルタントとしてとても恥ずかしいことではあるが、かなり驚き、動揺した。(経済圏としてEUがアメリカをはるかに追い抜いて世界一大きいことは重々理解していた、、、知ってました?)
帰ってきて早速、調べてみると、名目上は、IMFやCIAデータ(→国別にかなりのデータを公表している)では今も日本は国別ではアメリカに次ぐ規模で、ドイツと中国は殆ど同じ規模だが、
Rank Country GDP (millions of USD)
1 United States 13,843,825
2 Japan 4,383,762
3 Germany 3,322,147
4 China (PRC) 3,250,827
5 United Kingdom 2,772,570
6 France 2,560,255
7 Italy 2,104,666
8 Spain 1,438,959
9 Canada 1,432,140
10 Brazil 1,313,590
(資料IMF:以下同じ)
PPPベース(実際の商品購買力)で見ると確かに、日本はとっくに中国にしかも劇的に抜かれてしまっている。しかも、なんと日本の次はドイツではなくて、インドだ。
Rank Country GDP (PPP) $M
1 United States 13,843,825
2 China (PRC) 6,991,0361
3 Japan 4,289,809
4 India 2,818,867
5 Germany 2,809,693
6 United Kingdom 2,137,421
7 Russia 2,087,815
8 France 2,046,899
9 Brazil 1,835,642
10 Italy 1,786,429
世界の経済に占める割合では、IMFデータでは、日本は7%にも及ばず、アメリカと足し込んでもたったの28%しかない(たしか90年代頭はこの二国で世界の35-40%程度はあったと記憶)。一方、EUは単独で、23%、中国は11%、インドは4%もある。世界の経済活動の重心はすっかり、ヨーロッパと中国、インドに移ってしまっていたのだ。
これは幼少の頃、西ドイツを抜いて以来30年以上にわたり不動の2位の地位を持ってきたと認識してきた大半の日本人にとってはかなりの寝耳に水の話ではないだろうか。そしてある種、大変にプライドを問われる問題でもある。ニートとか不動産不況(これはあまり騒がれていないが、近くどこかで触れたい)とかと言っている場合ではないとおもうのだけれど、、、。
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とは言うものの、まあ中国は単に人が多いだけだからと思う人もいるだろう。僕もまさにそれで、ではということで一人当たりの生産力、すなわちGDP per capitaを見てみた。いかに?
次のデータでどこに日本があるか見てみてください。まずPPP補正済みのデータ、いわゆる実際の豊かさを示すためにいつも使われるデータだ。一人当たりのGDPが多い順に番号を振ってみた。
Rank Country USドルでの一人当たりGDP(PPPベース)
1 Qatar 80,870
2 Luxembourg 80,457
3 Norway 53,037
4 Brunei 51,005
5 Singapore 49,714
6 United States 45,845
7 Ireland 43,144
8 Switzerland 41,128
9 Kuwait 39,306
10 Iceland 38,751
11 Netherlands 38,486
12 Canada 38,435
13 Austria 38,399
14 Denmark 37,392
15 United Arab Emirates 37,293
16 Sweden 36,494
17 Australia 36,258
18 Finland 35,280
19 Belgium 35,273
20 United Kingdom 35,134
21 Germany 34,181
22 Japan 33,577
23 France 33,188
24 Bahrain 32,064
25 Italy 30,448
26 Republic of China (Taiwan) 30,126
27 Spain 30,120
28 Greece 29,172
29 Cyprus 27,429
30 Slovenia 27,205
びっくりではないですか?日本はなんと22位!なのです。原油高とドバイに代表される開発ブームで中東の一部、ユーロが強いのでEU系の国が軒並み高めに出るのは当然としても、22位というのは殆ど誰も予想しないランクではないでしょうか。
こんなのPPPのトリックさ。いつも名目(いわゆる為替換算の素朴公称値)では日本は常に殆どトップか2位にいたはずだと覚えている皆さん、では次の名目上のランキングを丁寧に30位まで見て頂きたい。
Rank Country USドルでの一人当たりGDP(名目ベース)
1 Luxembourg 104,673
2 Norway 83,922
3 Qatar 72,849
4 Iceland 63,830
5 Ireland 59,924
6 Switzerland 58,084
7 Denmark 57,261
8 Sweden 49,655
9 Finland 46,602
10 Netherlands 46,261
11 United States 45,845
12 United Kingdom 45,575
13 Austria 45,181
14 Canada 43,485
15 Australia 43,312
16 United Arab Emirates 42,934
17 Belgium 42,557
18 France 41,511
19 Germany 40,415
20 Italy 35,872
21 Singapore 35,163
22 Japan 34,312
23 Kuwait 33,634
24 Brunei 32,167
25 Spain 32,067
26 New Zealand 30,256
— Hong Kong 29,650
27 Greece 28,273
28 Cyprus 27,327
29 Bahrain 25,731
30 Slovenia 22,933
。。。。ではないでしょうか。ここでも日本は22位です。しかも、中東を除くアジアでは恐らく過去50年1位しか体験したことのないはずの日本ですが(恐らく戦前の常任理事国時代もそう)、すでにシンガポールに抜かれてしまっています。国ではないですが、香港が並ぶ日も近いです。本当にG8/G7に名前を連ねていることが正しいのかすら良く分からない。PPPベースではなんとシンガポールはアジアではダントツ、最強時代の日本でも無理だったアメリカ抜きを果たし、世界で5位です(小さな石油産出王国ブルネイを入れるとアジア2位)。
ぼくの記憶が正しければ、日本の大学院で研究していた90年代はじめは、シンガポールは日本の半分ぐらいもなかったと思う。それがわずか15年ほどでこのような事態になろうとは。戦後45年間で血と知恵と汗を流し込み築いてきたものをたったの15年ほどで半分に落とし込んだようなものです。
バブル崩壊から腰が重いまま、経済の開放や改革をしこってきた結果、ここまでの結果が起きてしまっています。福田さんの大きな政府指向の考えも良くなかった。物価もかつてほど異常ではないけれど、まだ十分世界のいいものをアメリカのように安く買える国になっている訳でもない(これについても出来たらまた考察したい)。
僕の周りの人がとりわけ疎いのかもしれないけれど(ちょっと考えにくいが、、、)、この話、僕が上のやり取りの結果気付いてから人に話しても、あんまり誰も意識していない。
これこそ今回の総裁選や、年末の総選挙で明らかにして日本人を奮起させて欲しい問題です。
今奮い立たなければ、これだけのモメンタムの現象では、ずるずると30位あたりに落ち込み、キプロスとかギリシアなんていうヨーロッパの下のラインの国々並みになってしまうのはそう遠くはないでしょう(恐らく数年以内)。
どうしても一度これは少しでも多くの人にシェアしておきたくて書いておきます。皆さんもよろしければ周りの人にこの事実を伝えてみてください。そしてご意見をお互いシェアしてみてください。まず大切なのは現状のオブザベーション、見立ての共有ですから。
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