2018年の活動を振り返る


Sabah, Borneo Island, Malaysia
Leica M (typ240), Summilux 1.4/50, RAW


気がついたらあっという間に年の暮れですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

年末だということもあり、自分の振り返りも兼ねて、web上でpublicになっている主たるアウトプット的なものをまとめてみました。★が付いているのが個人的に重要かなと思っているものです。

1. 財務省 財務総研のイノベーションを通じた生産性向上に関する研究会★
https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2017/inv2017_04.htmwww.mof.go.jp
https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/00report/inv2017/inv2017_report10.pdfhttps://www.mof.go.jp/pri/research/conference/00report/inv2017/inv2017_mokuji.htmwww.mof.go.jp

昨年の本当の年末、主計官の皆様及び財務総研の先生方に投げ込ませて頂き、10月に遂に「シン・ニホン”AI×データ時代における日本の再生と人材育成」を含む本が「きんざい」から出版されました。ちょっと値が張る本ではありますが、生産性問題について考えたい人におススメです。元は財務省 財務総研での昨年秋から今年年始にかけての集中討議。東大大橋弘先生、名誉所長吉川洋先生、Glocom高木聡一郎先生、楽天 森正弥さんらの錚々たる講師陣の中になぜかお呼ばれしお話ししたものです。


2. 情報通信審議会 情報通信政策部会 IoT新時代の未来づくり検討委員会 人づくりWG(第3回)
総務省|情報通信審議会|情報通信審議会 情報通信政策部会 IoT新時代の未来づくり検討委員会 人づくりワーキンググループ(第3回)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000529912.pdf
1/24 ここでもシン・ニホンを投げ込みました。


3. 日経調『人工知能は、経済・産業・社会をひっくり返すのか?~大企業トップがAIに関してやるべきこと』★
人工知能(データ×AI)研究委員会 報告書、審議経過 | 日経調 Japan Economic Research Institute
http://www.nikkeicho.or.jp/wp/wp-content/uploads/17-3_AI_report.pdf

日立の庄山名誉会長のもと、日本を代表するAI関連の識者の多くが集まり、一年半ほど検討してきたものの取りまとめ。大企業はそのままではこの変革を起こせない、ここでどういう投げ込みをするべきかについてかなり喧々諤々議論しました。第2章はこれを差し込むことも含めて、かなり色濃く僕の提案が反映されています。

ちなみに日経調の正式名称は日本経済調査協議会。1962年3月、「日本経済の発展に寄与することを目的に、内外の経済社会ならびに経営に関する中長期の基本問題を幅広い視野に立って調査研究する機関」として、経済団体連合会日本商工会議所経済同友会および日本貿易会の財界4団体の協賛を得て設立されたという歴史のある財界のシンクタンク


4. AIは僕たちのFun Timeをどんどん増やしてくれる(対談)
www.hoshinoresorts.com

2月に星野リゾートの星野佳路社長と10数年ぶりにお会いしてお話した内容。とっても楽しくかつ光栄でした。


5. ICCサミット FUKUOKA 2018
industry-co-creation.com

スタートアップを中心にいわゆるヤバイ人が集う小林雅さんが率いるICCこと、Industry Co-Creationの年に二度のサミットに登壇。何度もやってきたデータとかAIとかではない話にしたいと訴え、2017/5のDiamondハーバード・ビジネス・レビューで書かせていただいた論考をもとに「知性に関する一つの考察」を投げ込み。これを石川善樹さん、楽天北川さん、リバネス丸さん、尾原さんとやったセッションがもう立ち見が入りきれないほどの熱気で異様な盛り上がりに。楽しかった!


6. EIJYO COLLEGE SUMMIT 2017(講演)
eijyo.com

2/17。大手企業35社の営業職女性がつどうエイカレッジの年会で講演させていただきました。マッキンゼー時代の親しい同僚である佐々木裕子さんからのお声がけ。下のMashing Up、日本ヒーブ協会の40周年記念シンポジウム含め、今年は輝く女性に沢山お会いし、希望を感じた一年でした。


7. おじさん VS 世界 「若者よ、自意識を捨ててラクになれ」 (パネル討議)
www.cafeglobe.com

2/23 MASHING UPという輝く女性が集まるイベントの中で前Wired JAPAN編集長の若林さん、石川善樹さんと登壇したという異色な記事です。


8. MIT Asia Business Conference
http://mitasiabusinessconference.com/ai-digital-transformation-panel/

3月にMITのMBA/PhD学生たちからお声がけがあって登壇。中国がゲームのすべてを変えつつある、イノベーションはむしろもうアメリカではなく中国から生まれていると言ったらえらく驚かれ、会場の別の登壇者の多くから、数多くの反論?を受けました(笑)


9. stars insights: 24 April 2018(インタビュー:英語)
http://www.the-stars.ch/media/431752/kazuto-ataka_machines-will-never-completely-overtake-human-beings.pdf

3月 MITの前後でSingaporeのstarsという次世代リーダーを生み出すイベント登壇の際に取材を受けたものが4月に記事になったもの。


10. INNOVATION ECOSYSTEM ニッポンは甦る! (講演、単行本への寄稿)

こちらは自民党 知的財産戦略調査会から気合の入った一冊。甘利先生、山際先生の全体観に始まり、落合陽一さん、上山隆大さんとの総論対談、更に冨山和彦さんらの識者提言に。よりスッキリとした形で、3月にこの知財戦略本部で投げ込ませていただいた僕の「シンニホン」の抄訳も入ってます。政権で国家戦略を担う人たちの考えを俯瞰するためにも、いろんな識者の視点を一気に見るためにも有用な一冊。個人的には自分の言葉がいきなり表紙を開くと出てきてビックリしました。


11. 安宅和人 x Future Society 22(インタビュー)★
www.future-society22.org

3月にシグマクシスの柴沼さんと内山そのさんの取材を受けた内容。柴沼さんはマッキンゼー時代からの大切な友人であり後輩。この一年あまり仕掛けている「風の谷」の話を初めて外で語った場でもあります。


12. 5/12 東洋経済のAI特集「AI時代に勝つ子・負ける子」

(1) AI時代の人間に必要な力が見えてきた(基調論文的な記事)
premium.toyokeizai.net

(2) AIを使い倒せる人がどの職種でも活躍する(コラム記事)
premium.toyokeizai.net

基調論文的な記事の骨格づくりでかなりサポートしました。(人間とAIを対比した図表はDiamondハーバード・ビジネス・レビューの人工知能特集でかつて僕がまとめたものそのものです。)


13. 内閣府 人間中心のAI社会原則検討会議「AI readyとは何か?」(国の審議会での投げ込み)★
https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/humanai/2kai/siryo3-3.pdf

裏面でやっていた経団連の「AI原則TF」、中西会長「Society5.0」検討(未来協創TF:後述)(どちらも座長はソニーCSL北野先生)の議論中にふと口に出したこの考えが、今から考えると確かにmissing pieceで大切な投げ込みになりました。多くの人にも一緒に考えてもらえたらうれしい。


14. 内閣府 知的財産戦略ビジョン(国の審議会討議のアウトプット)★
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizai_vision.pdf(フル版)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizai2018_smmry.pdf
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizai2018_smmry.pdf(ダイジェスト版)

6月発表。住田局長(知財戦略推進担当)のもと、ATK梅澤高明さん、魔法使い落合陽一さん、ドワンゴ川上量生さん、IGPI冨山和彦さん、慶応中村伊知哉先生、ロフトワーク林千晶さん、原山優子先生、東大渡部俊也先生らとの異種格闘技戦の本当に面白かった議論を経て生み出された戦略ビジョン。単なる知財の枠を超え、この社会を強くするために「価値デザイン社会」を目指すということになり軸がソリッドになった。これまで色々なところで訴えてきた「未来=夢×技術×デザイン」という枠組みがここに入ったことに希望を感じました。


15. テクノベートが進化させる未来とは?~ヤフー安宅×メルカリ小泉×ロボ高橋×理研髙橋(パネル討議)★
www.youtube.com(2018)
globis.jp(2017)
www.youtube.com(2016)

7/7 グロービスMBA学生のみなさんが年に一度集まる「あすか会議」でのkeynote的なセッションでの登壇。動画です。2017の小泉さん、落合陽一さん、Globis堀さんとの登壇、2016のIGPI塩野さん、千葉工大 古田先生、Globis堀さんとの登壇のビデオもセットでご覧になるといい感じかと。


16. 新しい社会と知財のビジョン-「価値デザイン社会」を目指して-(パネル討議)
https://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/18072001.html

7月にRIETIで内閣府の住田局長と一緒に登壇させていただいた時の記事が上がりました。知財戦略プロジェクトにて、上述の異種格闘技戦の本当に面白かった議論を経て生み出された「価値デザイン社会」がテーマです。お手すきのときにでもご覧頂ければ幸いです。


17.【落合陽一・小泉進次郎】平成最後の夏期講習 (公的イベント登壇)★★
【落合陽一・小泉進次郎】平成最後の夏期講習|ニコニコインフォ
冒頭プレゼン_安宅和人さん_我が国の未来に向けたリソース投下の現状と課題.pdf - Google ドライブ
logmi.jp

7月末に落合・小泉両氏の声がけで行われた画期的なイベント。本来の副題は「人生100年時代を考えるための社会保障基礎講座」。あらゆる社会の課題と政治とテクノロジーで解決しようという試み。年始に一冊の本として発売される予定。(ゲラ確認はかなり前に完了)
僕は冒頭で登壇し「我が国の未来に向けたリソース投下の現状と課題」について語った。時間がない人はこれだけでも見ていただきたい。


18. 数理・データサイエンス教育強化コンソーシアム「数理・データサイエンスと大学」インタビュー
http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/topics.html#3

情報・システム研究機構(NII、統数研、遺伝研、極地研など情報系の国研を束ねる機構)機構長を昨年まで勤められ、今は東大で数理・データサイエンス人材育成に取り組まれている北川先生からのお話で、今必要な人材育成と取り組みについて忌憚のない所をお話させていただきました。


19. 2018/09/10-11「2018台日科学技術フォーラム:AIの未来生活への応用とイノベーション
http://japan.tnst.org.tw/front/bin/ptdetail.phtml?Part=3-058&Rcg=47

台湾と日本の政府間で毎年一回テーマが決められ、両方から識者がでて話すというなんともこれも場違いなイベントにソニーCSLの北野先生らと登壇。はじめての台湾は懐かしく、そして心のあたたまる場所でした。


20. 新時代ビジョン研究会「大学に10兆円の基金を」(講演と討議)★
www.php.co.jp

9月にPHP研究所 x 鹿島平和研究所の壮大な研究会にお声がけいただいた。「シン・ニホン」の改訂版を投げ込み、錚々たる識者の方々と議論。ちょうど今発売中のVOICEに巻頭記事的に載っています。


21. STS Forum 2018 (Science and Technology in Society Forum)
https://www.stsforum.org/file/2018/12/Summary-2018-for-web-Link.pdf
https://www.stsforum.org/file/2018/12/Summary-2018-for-web-Link.pdf

10/7 尾身幸次先生が主催され、ノーベル賞学者、世界の大学の学長クラスも10名以上、国に直接アドバイザリーをされている人が集まるというなんとも場違いな場にて昨年に引き続き登壇。Innovation Ecosystemというタイトルのセッションで、ノーベル賞学者である前理研理事長の野依先生とご一緒させて頂きとてもありがたかった。セッションの内容は上のリンク先のpp.124-127にあります。(英語のイベントなので英語サマリーです。)


22. Society5.0 -ともに創造する未来-経団連TF検討のアウトプット)★
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/095_honbun.pdf

11/13。経団連の中西会長(日立製作所会長)直下の未来協創TFにて夏前からソニーCSL北野先生、損保ジャパン浦川さん、日立矢野さんらとグリグリやってきたものがついに形になった。

日本の中長期的な未来を見据えて、既存の価値観の方々からは過激に聞こえかねないことを相当量仕込んだが、早速、「理文を問わず理数素養が必要」「変革はむしろ多様性、地方から生まれる」などの動きにつながり、大変嬉しい。


23. 2050年の世界(パネル討議)
forbesjapan.com

11/26に開催された「Forbes JAPAN CEO Conference 2018」でのkeynote panel discussionの書き起こし記事。竹中平蔵先生、石川善樹さん、朝倉祐介さん、リバネス井上浄さんらと2050年の世界に向けての投げ込み。


24. 教育再生実行会議 技術革新ワーキング・グループ(第4回)配布資料(国の審議会での投げ込み)★★
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/jikkoukaigi_wg/kakusin_wg4/siryou.html

11/27に行われた会議にてシン・ニホンの改訂版と教育行政視点での重要と思われる論点をかなりまとめて投げ込みました。残念ながら国会が長引き、柴山文科大臣のご臨席は流れたのですが、未来につながることを願っています。


25. Pitch to the Minister 懇談会 “HIRAI Pitch”
開催状況 - Pitch to the Minister 懇談会 - 内閣府
https://www.cao.go.jp/others/soumu/pitch2m/pdf/20181204gaiyou_11.pdf

12/4に平井内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)に直接投込みさせて頂く貴重な機会をいただいた。

Hirai Pitchは「創造する未来社会からバックキャスト的に新たなイノベーションを起こしていくため、情報通信技術(IT)、科学技術、知的財産戦略、クールジャパン戦略、宇宙開発等はどのように進めていくべきか、大臣と産学官関係者との間で幅広い意見交換を行う懇談会を開催する」という‼️な取り組み。

平井大臣の新しいテクノロジー社会へのずば抜けた理解の深さ、人としての暖かさ、未来に向けた強い意志に触れ、希望を感じる会でした。

Webに上がっているものとしてはだいたいこんな感じかなと思う。また何か気づいたら足しますね。

ちなみに僕は「日々何をやっているのか?」とよく聞かれるので、ご参考までに答えておくとだいたい以下のミックスです。当然のことながらコアなのが上の3つです。

  1. 大学の先生としてのお仕事(講義、研究会活動、学事関連活動ほか)
  2. 会社の全社ストラテジスト(CSO)としてのお仕事
  3. 国や公的団体のお仕事(10前後の委員、登壇、ご相談対応ほか)
  4. 講演/取材/執筆/原稿確認などの対外発信系
  5. 理事や社外取締役とかをやっている組織の運営
  6. 自分が運動論として仕掛けているもの

「あなたを突き動かしているものは何か?」ということもよく聞かれるのですが、一言で言えば「少しでもマシな社会を残したい」ということです。僕が関わる組織(学校、会社、国ほか)がしっかりと意味ある形で成長すること、それに向けて悔いのない形で仕掛け、起動することはもちろんなのですが、public mind的に言えば、

  1. 未来に賭けられる国にするということ
  2. 未来を生み出す人材を一人でも多く生み出すこと
  3. 今の子供やその次の世代たちが生きるに値する生活空間を生み出すこと

これが今の3大アスピレーションです。

2019年もワイルドに仕掛けていければと思っています。

皆様の一人ひとりが素敵な年末、そして新年をお迎えられますことをお祈りしつつ