ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

安宅和人: 脳神経科学とマーケティングの間に棲息

味を失わず世界で生きるとは何か


安西洋之さんの新刊。一見月並みのことにどれほどの深さがあるかを感じられるかを突きつけられるような本です。*1

安西さんは拙著を読んで、僕に最初にコンタクトされた方の一人。ローカライゼーションマップを提唱され、日経ビジネスオンラインでも連載されていたので*2、ご覧になった方も多いのでは?(実はこの絡みで対談をさせて頂いたこともあります、、。*3

この本、いかにもありそうですが、誰も思いつかなかった取り組みです。ちょっとヨーロッパを取材旅行してきましたみたいな人ではなく、イタリアに腰を据えた生活の中で長年感じられてきた感性の上に、ファーストハンドで集められた得難い生の声、情報に満ちています。安西さんの大好きなイタリアへの思い入れが過度に出ていないところがナイスです。*4

日本の刃物とヨーロッパの刃物のそもそもの発想の違いとかのようななるほど系の気付きだけでも面白いのですが、小さくても面白い企業にどのような特徴があるのか、についての多面的な考察は実に面白いです。あまり紹介したくないぐらいこってりしています。

僕自身が経営改革に関わっているさなかであるので、ちょっと読むごとに考えさせられることが多く、読み切るのに結構時間がかかりました。これをさらっと読んでしまう人は、もう少し色々仕掛けられるとかなり味わいぶかく読めるのではないカナ?そういう意味で読者の経験値をかなり問いかける本だろうなと思います。

他人への敬意と自らへの尊厳を持たなければ年30%の成長は出来ないという話、ワークライフバランスについての深遠な議論などは頷きつつもかなり考えさせられました。

一つ残念なのは、これほど面白そうな企業が沢山紹介されているのに、ほとんど全く知らない会社ばかりなので、もう少しそれぞれに付いて写真付きとか、せめてURLを紹介してくれたら良かったのに、というところですが、紙面の都合もあると思うので、まあしょうがないのかも。

最後の最後に自分の対談の言葉が出てきて!?!でしたが、それは無視して頂いても十分価値のある内容かと思います。

ということで、これを読んで面白そうだと思った方、書店でまずは手に取ってみて損はないかなと。


世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?

世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?

*1:このところ、なぜか知人の出版ラッシュが続いていて、大量に送られてくるものに対応しきれない状況にあるのですが、これは送って頂いてよかったと思う本でした。

*2:http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110404/219301/?rt=nocnt

*3:http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110725/221670/

*4:米国やアングロサクソン中心主義的な感覚の我々から見るとちょっとアタマが揺さぶられた感じになりますが、その意味でも読む意味があるかもです。